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キシリトールガムは本当に虫歯予防になる?効果と正しい食べ方を歯科医が解説

キシリトールガムは本当に虫歯予防になる?効果と正しい食べ方を歯科医が解説

「キシリトール入りのガムは虫歯予防にいい」と耳にしたことはありませんか?
実は、キシリトールガムには科学的に裏付けられた効果があり、正しく続けることでお子さんから大人まで虫歯予防に役立ちます。

この記事では、キシリトールガムがなぜ虫歯予防になるのか、そして実際にどのくらい・どうやって食べればいいのかを、歯科医院の視点からわかりやすく解説します。
市販のガムと歯科専用ガムの違いや、子どものおやつ・口腔機能トレーニング(ガムトレ)への活用法も紹介しています。毎日の習慣に取り入れて、ご家族みんなで健康な歯を守っていきましょう!

目次

キシリトールガムが虫歯予防になる理由

「ガムを噛むだけで本当に虫歯予防になるの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
結論から言うと、正しく使えばキシリトールガムは虫歯予防に効果があります。その理由を、できるだけわかりやすくご説明します。

虫歯菌が酸を作れない

虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、砂糖を分解して酸を作り、その酸が歯の表面(エナメル質)を溶かして虫歯を進行させます。
ところが、キシリトールはミュータンス菌が代謝できない糖アルコール。つまり、菌がキシリトールを取り込んでも酸を作れず、虫歯の進行がストップしやすいのです。

プラーク中の菌数を減らす

「酸を作らない」だけでなく、キシリトールを長期間摂取すると虫歯菌自体の数を減らす効果が期待できます。
例えば日本の研究では、3か月間キシリトールガムを噛んだ子供は、虫歯菌(ミュータンス菌)の増加が抑えられたという報告があります。
虫歯の発症そのものを評価するには半年〜1年以上の期間が必要ですが、短期間でも口腔内環境の改善は始まっているのです。

唾液分泌を促進

ガムを噛むことで自然に唾液が出ます。唾液には、
・酸を中和する
・初期虫歯を修復する(再石灰化)
・口の中を洗い流す(自浄作用)
といった働きがあり、虫歯予防に欠かせない存在です。

特にオーラルケア社の実験では、ガムを一度に1粒より2粒、2粒より3粒噛んだ方が唾液分泌量が多いことが確認されています。
つまり「食後にキシリトールガムを3粒噛む」ことで、虫歯予防効果をさらに高めることができるのです。

フッ素との相乗効果

歯磨き粉に含まれるフッ素とキシリトールは相性抜群です。
フッ素は歯の再石灰化を促進し、キシリトールは酸の産生を抑えることで虫歯リスクを下げます。
そのため、「歯磨き+フッ素+キシリトール」の3点セットを毎日の習慣にすることが理想的です。

正しい選び方と効果的な食べ方

「キシリトールガムなら何でもいい」というわけではありません。
虫歯予防効果をきちんと得るためには、製品の選び方・摂取量・タイミングが大切です。

製品の選び方

  • キシリトール含有量50%以上(理想は100%)を選ぶ
  • 成分表示で「キシリトール」が最初に書かれているものをチェック
  • 市販品と歯科専用ガムの違い
    市販品はソルビトールなどを混ぜていることが多く、キシリトール濃度が低め。
    歯科専用ガムは100%キシリトール配合が多く、虫歯予防効果をしっかり期待できます。せっかくキシリトールで虫歯予防効果を狙っても、他の甘味料が入っていては予防効果が薄れてしまいますので、当院ではキシリトール100%のものをおススメしております。

摂取量と回数

  • 1日5〜10g(ガムに換算すると5〜10粒程度
  • 1回2〜3粒 × 1日3回以上(朝・昼・晩の食後)
  • オーラルケア社の推奨は「1度に3粒」。唾液分泌を増やし、より高い効果が得られる
  • 初めての方や小さなお子さんはまず1粒からスタート

タイミング

  • 食後すぐに噛むのが最も効果的
  • 歯磨き後にプラスするのもおすすめ
  • 子供のおやつ代わりにも◎

ガム以外の形態

  • タブレット:ガムが噛めない小さなお子さんや義歯の方に
  • グミタイプ:噛む練習には良いが糖分や添加物に注意
  • シロップ:海外では乳児向けに研究あり(日本では一般的ではない)

注意点

一度に食べすぎるとお腹がゆるくなることがあるので注意。
またガムは虫歯予防の補助であり、歯磨きや定期健診を置き換えるものではありません。

舌のガムトレーニング(ガムトレ)で口腔機能を育てる

現代は「軟食の時代」といわれています。カレーやパスタ、ハンバーグ、ラーメンなど人気の食べ物はやわらかいものが多く、忙しい生活の中で手軽に食べられる食事が選ばれがちです。昔の人の噛む回数に比較して、現代人の噛む回数は半分以下に減少しています。

※画像はオーラルケア社公式サイトより引用(“しっかり噛む”には、やっぱりガム!| モグゾウの噛む噛むエブリデイ | オーラルケア

でも、“噛むこと”は健康にとても大切。日々の食事だけでなく、おやつでもしっかり噛む習慣を意識することが重要です。いろいろなおやつの中で一番たくさん噛めるのは、やっぱりガム。手軽に取り入れやすいので、ぜひ毎日の習慣にしてみましょう。

最近注目されているのが「ガムトレーニング」。
キシリトールガムを使って「噛む・舌を動かす」習慣をつけることで、虫歯予防に加えて舌や顎の発達をサポートできます。

舌や顎の発達にも効果的

  • 舌の正しい位置を意識できる:左右の奥歯で交互に噛むと舌が自然に動き、正しい舌の位置が身につく
  • 唾液量アップによる相乗効果:特に「一度に3粒」噛むと唾液分泌が増え、ガムトレと虫歯予防の両立が可能
  • 口腔機能低下症の予防:現代の子供に多い「噛む力不足」への対策
  • 発音や姿勢への良い影響:舌や口周りの筋肉が鍛えられ、発音安定や口呼吸改善につながる

ガムトレーニングのやり方

まずは基本のステップ

  1. 小粒のガムを3つ用意(子どもなら歯科専用の小さいサイズがおすすめ、一粒から始めよう)。
  2. 左右の奥歯で順番に噛んでみましょう。片方ばかりじゃなく、右5回 → 左5回…というように交互に。
  3. 3〜5分くらいでOK!リズムよく、楽しく噛むことがポイントです。

応用①:ガムを丸める練習

  • 柔らかくなったガムを、舌でコロコロ転がして小さくまとめます。
  • 舌の先だけじゃなく、横や裏側も使って丸めるイメージ。
  • 「上手にお団子作れるかな?」と声をかけながらやると子どもも夢中になります。

応用②:上あごに押しつける練習

  • 丸めたガムを舌の先で上あご(前歯のすぐ後ろあたり)にギュッと押し付けます。
  • 「1、2、3!」と数えながら押して、離すを繰り返します。

やる時間の目安

  • 慣れてきたら全部のステップで1回5〜10分くらい、食後やおやつのあとに取り入れるのがおすすめ。
  • 小さい子は最初は1分くらいからで大丈夫。
  • うっかり飲み込まないように、大人がそばで見守ってくださいね。

続けるとどうなる?

  • 舌の動きがスムーズになる
  • よく噛めるようになる
  • 発音や飲み込みが安定する
  • 唾液もたくさん出るので、虫歯予防にもつながる

👉 難しいことは一切なし!「ガムで遊んでいたら、口の力が育ってた」というのが理想です。親子でゲーム感覚で取り入れてみてくださいね。

大人にも効果的 お子さまと一緒にトレーニング

  • 舌の筋肉低下予防:高齢期の誤嚥性肺炎リスク軽減
  • ストレスケア:リズムよく噛むことでリラックス効果
  • 口臭予防:唾液分泌が増え、口臭の軽減につながる

まとめ|キシリトールガムを賢く活用して虫歯予防を

  • キシリトールガムは虫歯菌が酸を作れない+唾液分泌促進で虫歯予防に効果的
  • 1日5〜10g(2〜3粒を3回以上)を目安に、食後に噛むのがおすすめ
  • 子供には「虫歯予防」+「舌のガムトレーニング」にも有効
  • 大人にとっても口臭予防・ストレスケア・舌機能維持に役立つ
  • 歯磨きやフッ素と組み合わせれば、さらに予防効果が高まる

キシリトールガムは、美味しくて続けやすいのが魅力です。
ご家族みんなで「食後に3粒」を習慣にして、健康な歯とお口の機能を守りましょう。

👉 詳しくは オーラルケア公式サイト もご参照ください。
👉 関連記事:[当院のブログ|キシリトールの活用法]

市川市本八幡の杉山デンタルクリニックでは、歯科専用キシリトールガムを使った虫歯予防やガムトレーニングのご相談も承っています。お気軽にご相談ください。

杉山 健太郎

執筆者

杉山デンタルクリニック 院長

杉山 健太郎

東京歯科大学卒業後、杉山デンタルクリニックの院長となる。
日本口腔外科学会認定口腔外科専門医で、臨床研修指導歯科医師の資格も保有。多くの病院で口腔外科疾患やインプラント治療に従事し、患者さん一人ひとりにあった治療計画を提案しつつ、患者さんのQOL向上を目指す。