ブルーラジカルとは?歯周病治療の新時代|メリット・デメリットを歯科医が解説

目次
ブルーラジカル治療とは?
ブルーラジカルはは、重度歯周病をターゲットとした非外科的治療法(切らない歯周病治療)として、世界で初めて実用化された最新の画期的な治機器であり、厚生労働省の医療機器認定において「歯周治療・歯周炎・歯周ポケットの殺菌・スケーリング」と初めて明記された、国内で唯一の歯周病治療器です。
青色LEDと光感受性薬剤を用いて歯周病の原因菌を無菌化する、新しい光殺菌療法です。東北大学発の医療機器ベンチャー企業「Luke株式会社」が開発した歯科治療機器「Blue Radical P‑01」を使用し、歯周ポケットの深部に存在する細菌を除去します。
この治療法の特徴は、細菌に直接作用することです。従来の治療では、器具で物理的に歯石やプラークを取り除くことが中心でしたが、ブルーラジカルでは、薬剤を歯周ポケットに注入し、その後に青色LEDを照射することで、活性酸素(ラジカル)を発生させ、細菌細胞の構造を破壊・無菌化します。これにより、抗菌薬のような耐性菌の問題が起こりにくいのも大きな利点です。
さらに、ブルーラジカルの処置は非常に短時間で済むのも特長です。1本あたり照射時間は5分程度で、通院中の患者さまの負担を軽減します。
歯周病の治療は「継続管理」が重要ですが、こうした低侵襲な選択肢が加わることで、治療へのハードルが下がり、早期対応が可能になる点も注目されています。
従来の歯周病治療(スケーリング・ルートプレーニング:SRP)では、器具による物理的な清掃が中心でした。しかし、SRPでは届きにくい部位や、感染の再発が問題とされていました。
ブルーラジカルは薬剤をポケット内に注入した後、青色LEDを照射することで、活性酸素(ラジカル)を発生させ、細菌を効果的に破壊します。

超音波振動 + ラジカル殺菌
過酸化水素とレーザー照射によるラジカル殺菌技術により、虫歯菌、歯周病を引き起こす口腔細菌を99.99%殺菌します。人体に影響はありません。
ブルーラジカルのメリットとデメリット
メリット①:非侵襲的(切らずに治療できる)
ブルーラジカルは、メスや縫合を伴う外科処置ではありません。治療は非常に小さなノズルと光照射で行うため、出血・腫れ・痛みが最小限に抑えられます。
メリット②:深部までしっかり殺菌
青色光と薬剤の反応により、歯周ポケット内の細菌膜(バイオフィルム)を破壊します。通常のスケーリングでは残りやすい部分にも作用が期待できます。
メリット③:耐性菌リスクがない
抗菌薬とは異なり、光反応により細菌を物理的に破壊するため、耐性菌の発生リスクが極めて低いです。
メリット④:口臭予防にも貢献
歯周病菌が減ることで、歯ぐきからの出血や膿の減少 → 口臭の軽減が期待できます。
デメリット①:保険適用外(自由診療)
2025年6月現在、ブルーラジカルは保険適用外の自由診療です。
デメリット②:効果には個人差がある
歯周病の進行度や体質により、複数回の照射が必要になるケースもあります。また、深い歯周ポケットや骨吸収が強い症例には、従来の外科治療と併用することもあります。
デメリット③:即効性ではなく継続が大切
一度の施術で目に見える変化が出るわけではありません。定期的な評価とメンテナンスを含めた長期的な管理が成功の鍵です。
治療後に大切な「定期的なメンテナンス」
ブルーラジカルで歯周病菌を減らした後も、プラークは日々溜まり続けます。そのため、治療後のメンテナンスが重要です。
杉山デンタルクリニックでは、以下のような流れで定期ケアを行います
- 歯周ポケットの深さ・出血の有無などを再評価
- プロによるクリーニングで歯石や歯垢を除去
- 歯みがき指導(TBI)や生活習慣アドバイス
3ヶ月ごとの定期検診を継続することで、再発を防ぎ、長期的な歯の健康を守ります。
よくあるご質問Q&A
Q. 歯周病はブルーラジカルで治るの?
歯周病は「完治」ではなく「安定させる」ことが目的です。再発を防ぐための継続的な管理が重要です。
まとめ|最新の歯周病治療「ブルーラジカル」
ブルーラジカルは、切らない・痛みが少ない・再発予防に強いという特徴を持つ新しい治療法です。歯ぐきからの出血や口臭が気になる方、従来の治療に不安がある方におすすめです。かかりつけ歯科医院があり、ブルーラジカル治療のみ当院で希望される方、定期的なメンテナンスも含め当院での治療をご希望される方、どちらの場合もまずはお気軽にご相談ください。杉山デンタルクリニックではお電話またはネットから初診予約を受け付けております。ご予約の際は「ブルーラジカル治療を希望」「ブルーラジカルが適応か相談したい」など、記入いただきますとスムーズです。

執筆者
杉山デンタルクリニック 院長
東京歯科大学卒業後、杉山デンタルクリニックの院長となる。
日本口腔外科学会認定口腔外科専門医で、臨床研修指導歯科医師の資格も保有。多くの病院で口腔外科疾患やインプラント治療に従事し、患者さん一人ひとりにあった治療計画を提案しつつ、患者さんのQOL向上を目指す。