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歯医者でボトックス(ボツリヌス注射)|美容外科との違い・効果・費用を専門医が解説

歯医者でボトックス(ボツリヌス注射)|美容外科との違い・効果・費用を専門医が解説

「歯ぎしり・食いしばりにボトックス(ボツリヌス注射)が効くって本当?」
「美容外科ではなく、歯医者でやっても大丈夫?」
そんな疑問を持つ方に向けて、この記事では歯科で行うボトックス治療について、効果・施術部位・費用・注意点まで詳しく解説します。

【この記事でわかること】

ボトックス(ボツリヌス注射)を歯医者で受ける理由と美容外科との違い

「ボトックス治療」と聞くと美容外科のイメージが強いかもしれませんが、歯科領域でも注目されています。食いしばり・歯ぎしり・顎関節症などに対して、噛む筋肉の過緊張を和らげるための医療的アプローチです。

歯医者と美容外科、ボトックス(ボツリヌス注射)の目的の違い

美容外科ではしわの改善や小顔目的が主ですが、歯科では咬筋(こうきん)に注射して噛む力を弱めることが目的です。これにより歯や顎の負担を軽減し、症状改善が期待されます。

歯医者でボトックス(ボツリヌス注射)は違法ではない?

日本では、医師法や歯科医師法によって医療行為の範囲が厳密に定められています。歯科医師法には、歯科医師の業務は“歯および口腔の疾患の予防、診断、治療”と明記されています。つまり、歯科医師が行える医療行為は口腔内やその周辺に限られており、身体の他の部位に関わる施術は基本的に認められていません。

一方で、歯科医師がボトックス(ボツリヌス注射)を行うことが全く禁止されているわけではありません。例えば、歯ぎしりや顎関節症の治療を目的とする場合、咬筋(かみしめに関与する筋肉)にボトックス(ボツリヌス注射)をすることは適法とされています。これらは口腔内およびその周辺の機能改善を目的としており、歯科医師の専門分野に該当するためです。

当院には口腔外科専門医が在籍しており、専門的な視点からの診断・対応が可能です。

参照:日本臨床歯科ボツリヌス協会「歯科ボツリヌス療法の法的概念」

歯科でのボトックス(ボツリヌス注射)はこんな方におすすめ

  • 歯ぎしり・食いしばりがある方
  • 顎関節症で痛みや違和感がある方
  • 食いしばり等でのエラの張りを改善したい方
  • マウスピース治療で改善しなかった方

ボトックス(ボツリヌス注射)歯医者での効果・持続期間・施術方法について

歯ぎしりや食いしばりを放置するリスクとボツリヌス注射のメリットは?

歯ぎしりや食いしばりを放置してしまうと、以下のようなさまざまなトラブルの原因になります。

  • 歯の摩耗・破折: 強い力がかかることで、歯がすり減ったり欠けたりする
  • 詰め物や被せ物の脱離: 治療済みの歯がダメージを受けやすくなる
  • 顎関節への負担: 開口障害・関節の痛み・カクカク音などの症状
  • 顔の筋肉の発達・エラ張り: 咬筋が肥大し顔貌の変化につながる
  • 肩こり・頭痛: 過緊張状態が首や肩、側頭部に波及

これらのリスクを軽減するためにも、ボトックス(ボツリヌス注射)治療は根本的な噛みしめの力を緩める手段として注目されています。
特にマウスピースだけでは改善しにくいケースでは、併用が効果的です。

効果はいつから?どのくらい続く?

施術後3〜7日で効果が出始め、2週間ほどで最大化します。
持続期間は通常3〜4か月で、継続を希望する場合は年2〜3回の注射が目安です。

どこに打つ?

噛む力の源である咬筋(こうきん)に注射します。以下の図をご覧ください。

当院では、片顎25単位(両顎50単位)注射します。

ボトックス(ボツリヌス注射)はやめたらどうなる?

効果が切れると元の状態に戻りますが、打ち続けても副作用は基本的にありません。依存性もなく、必要に応じた治療が可能です。

ボトックス(ボツリヌス注射) 歯医者での費用・保険適用・注意点について

保険適用になるか?

顎関節症や食いしばり、歯ぎしりへのボトックス(ボツリヌス注射)は、基本的に保険適用になることはありません。

自由診療での費用の目安

当院では、両顎で50単位 税込み 33,000円 となります。

副作用・デメリット・禁忌

  • 注射部位の内出血、腫れ
  • 稀に頭痛や違和感
  • 妊娠中・授乳中・神経疾患のある方は施術不可

医師がしっかりと診断の上、安全に配慮して施術を行います。

注射量(単位)と筋肉量の違いについて

ボトックスの注射量は「単位(Unit)」で表され、患者さまの筋肉の大きさや発達具合によって必要量が異なります。咬筋が強い方、左右差がある方は、部位ごとに注射単位を調整する場合もあります。

ボトックス(ボツリヌス注射)を続けるとどうなる?長期的な変化

定期的にボトックス治療を続けることで、咬筋の筋力が徐々に落ち着き、噛む力がコントロールしやすくなります
また、筋肉の過緊張が和らぐことで顎関節への負担軽減や歯の摩耗の進行抑制にもつながり、顔の輪郭がなだらかになり、エラの張りが軽減されるという効果も継続的に期待できます。

Q&A:患者さんからよくある質問

Q:注射は痛いですか?

A:極細の針を使用するため、チクッとした軽い刺激程度で済む方がほとんどです。麻酔は基本的に不要ですが、不安な方には事前に冷却し対応致します。

Q:表情がこわばったり、不自然になることは?

A:咬筋は表情筋と異なり、主に噛む動きに関与するため、表情の変化が出にくい部位です。ただし、注射量が多すぎると違和感が出る場合があるため、慎重な診断と経験が重要です。

Q:すぐに仕事や外出はできますか?

A:はい、施術直後から通常の生活が可能です。腫れや赤みが出ても1日〜数日で治まります。

施術後の注意点

  • 注射当日は激しい運動や長風呂は避ける
  • 注射部位を強く揉んだり押したりしない
  • アルコールの摂取は数時間〜24時間控えるのが無難

正しいアフターケアにより、効果が安定し、副作用のリスクも軽減されます

ボトックス(ボツリヌス注射)は歯医者で受けられる?機能改善と美容の両面から検討を

歯科でのボトックス(ボツリヌス注射)治療は、歯ぎしり・顎関節症・食いしばりといったお悩みへの新しいアプローチです。
美容外科と目的が異なり、咬筋への注射によって機能改善+見た目の変化の両立が可能です。

当院では、専門的な視点で安全性と効果のバランスを重視した施術を行っています。
「ボトックス 歯医者」でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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杉山 健太郎

執筆者

杉山デンタルクリニック 院長

杉山 健太郎

東京歯科大学卒業後、杉山デンタルクリニックの院長となる。
日本口腔外科学会認定口腔外科専門医で、臨床研修指導歯科医師の資格も保有。多くの病院で口腔外科疾患やインプラント治療に従事し、患者さん一人ひとりにあった治療計画を提案しつつ、患者さんのQOL向上を目指す。